■東京大学の門脇孝教授らの研究チームが明らかに
血中でメタボリックシンドロームを防ぐのに役立つとされる善玉ホルモン「アディポネクチン」が、脳の中枢では食欲を増進させ、カロリーの消費を低下させる「悪玉」の働きをしていることを、東京大学の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科)らの研究チームが明らかにしました。門脇教授は「血中での作用を高め、脳での作用はブロックできれば、肥満や糖尿病の薬の開発につながるのではないか」と話しています。
研究は10日発行の米科学誌「セル・メタボリズム」に発表されました。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、血中では脂肪を燃焼させたり、糖を分解するインスリンの働きを助けたりします。
門脇教授らは、脳中枢の「視床下部」という部分にアディポネクチンを注射したマウスと、生理食塩水を注射したマウスとを比較しました。アディポネクチンを注射したマウスの方がえさを多く食べ、酸素の消費量が少ないことを確かめました。また、アディポネクチンを欠損させたマウスは、一般のマウスより体重や脂肪組織の増加量が少なかったそうです。
こうしたことからアディポネクチンには、飢えに備えて脂肪を蓄え、エネルギーの消費を減らす「倹約遺伝子」の機能があると分析しています。
参照:朝日新聞 掲載記事 |