■米国癌学会(AACR)年次集会で報告
ロサンゼルスで開催された米国癌学会(AACR)年次集会で野菜や果物の摂取により、
さまざまな癌(がん)のリスクが減少することを示した3つの研究が、報告されました。
米国立癌研究所(NCI)のNeal Freedman氏らによる研究は、成人49万802人を対象に、
果物および野菜の摂取量と頭頸部癌の発生率を比較したものです。5年間に頭頸部癌と診断されたのは787人でした。喫煙およびアルコール摂取などの危険因子(リスクファクター)を調整後、
1日1,000カロリー摂取につき果物または野菜を6皿分摂取する人は、1.5皿しか摂取しない人に比べ頭頸部癌リスクが29%低く、1皿分追加するだけでも6%のリスク低下が認められました。
単独では果物よりも野菜の方が高い予防効果がみられたとのこと。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究グループは、ブロッコリーと大豆蛋白
(だいずたんぱく)による乳癌および卵巣癌に対する予防効果のメカニズムについて、実験室レベルでの研究成果を報告しました。ブロッコリーが消化されるとジインドリルメタン(DIM)という物質が、大豆が消化されるとゲニステインという物質が形成されます。
今回、これらの物質が、乳癌および卵巣癌の細胞の運動性に作用し、癌の拡散を抑制することがわかりました。しかし、大豆にはエストロゲン様の作用があるため、エストロゲンにより促進される癌のある人は注意が必要だといいます。
米ハワイ癌研究センターの研究グループは、カリフォルニアおよびハワイ在住の18万3,518人を対象にフラボノール摂取量と膵癌リスクを比較しました。
フラボノールは、タマネギ、リンゴ、ベリー類、ケールおよびブロッコリーなどに含まれる物質です。
フラボノール摂取量が最も高い人では膵癌リスクが23%低いことがわかったほか、喫煙者ではさらに効果が大きく、フラボノール摂取量が高い人は膵癌リスクが59%低いことが判明しました。
以上の3研究から、さまざまな種類の植物性食品を摂取することが癌予防には最良であるといえると、米国癌研究協会(AICR)のMelanie Polk氏は述べています。農家の直売所へ行ったり、食料品店で時間をかけて野菜を吟味したりするほか、野菜をおいしく食べられる料理法を見つけるなどの工夫も必要だとPolk氏はいいます。
参照:HealthDayNews 掲載記事 |